「君に内定を出すことにしたから、今選考中の企業はすべて断ってくれ」
もしこのようなことを就活生に伝えているようでしたら、それは「オワハラ」に当てはまっているかもしれません。
オワハラは優秀な人材が手に入れられるだけでなく、会社の悪評につながる可能性もあります。
今回はオワハラの実態やオワハラの4つタイプ、オワハラがダメな理由についてもご紹介します。
オワハラとは何か?
オワハラとは「就活終われハラスメント」の略で、内定を出す代わりに他社の選考を受けないよう迫る行為を指します。
「内定を出してあげるから選考中の企業は断ってほしい」というように、入社と引き換えに他の内定辞退を迫る行為や、内定を出してから必要以上に面談・研修を入れて他の就職活動を妨げるような行為がこれに当てはまります。
オワハラは2015年ごろから言われるようになりましたが、こういった行為自体はそれ以前からありました。
いままではそれほど問題にならなかった行為も、インターネットやSNSの発達により様々な情報が出回る時代になったことから、世間にも広く認知されるようになったのです。
近年は若者の減少も相まって新卒採用の難易度が上がっており、入社承諾をもらうために必死な企業が過剰な囲い込みを行ってしまうことも増えているようです。
過激さを増すオワハラの実態
オワハラと聞くと本当にそんなことがあるのかと思う方もいらっしゃると思いますが、実際にオワハラを受けた学生は非常に多く、2019年卒の就活生に行われた東洋経済オンラインの調査によると、文系学生の23%、理系学生の20%がオワハラを受けたと回答しています。
これだけでも非常に多いのですが、実はこの調査は面接解禁となる6月に行われたものです。
つまり、解禁されて間もない時期にも関わらず、すでに2割以上の学生がオワハラを受けているという実態があるのです。
採用戦略として早い時期から学生とコンタクトを取り、囲い込みをすること自体は手段としてありですが、他社との就職活動を妨害するような行為は、学生の志望意欲を下げる原因にもなるので注意が必要でしょう。
下記は学生が実際に受けた、悪質なオワハラの事例です。
「内定後も面談や懇談会などの予定を過剰に入れられ、一日中拘束されることもあった」
「この場で選考中の企業に電話を掛けて断れば、内定を出すと言われた」
「内定をもらった企業に断りの連絡をしたら、ふざけるなと威圧的に言われた」
ここまであからさまなオワハラをする企業はごく一部ですが、無意識に近しいことをしてしまっている場合もあるので、自社でもオワハラと思われる行動をしていないか今一度見直してみてください。
なぜオワハラがダメなのか
オワハラは当然良い行為とは言えませんが、ダメな理由は得られるメリットがほとんどない上にデメリットが非常に大きいからです。
ここでは、オワハラによって発生し得るデメリットをご紹介します。
志望意欲が低下する
東洋経済オンラインの調査では、オワハラを受けた学生の6割は志望意欲が下がったという結果が出ています。
オワハラをするような企業には当然不安を感じるでしょうし、入社後も他のハラスメントがあるのではないかと推測して意欲が下がってしまうようです。
SNSでの拡散による企業のイメージダウン
WEBやSNSの発達により、様々な情報が容易に手に入るようになりました。
特に学生のように若い年代の人はSNSの使用率も高いです。
そんな学生がオワハラを受けると、当然SNSに書かれてしまう可能性があります。
SNSは非常に拡散性が高く、企業の悪評が世間に広まってしまうのは時間の問題でしょう。
また、一度WEB上に出回った情報を完全に消すことはほぼ不可能です。
オワハラしていることが学生たちに知れ渡ると、採用だけの影響にはとどまらず、企業全体のイメージダウンにもつながってしまうため注意が必要です。
内定辞退防止に効果ナシ
オワハラは一度つかんだ人材を手放したくないという目的で行われることがほとんどですが、そもそもオワハラでは内定辞退を防げません。
メリットがないにもかかわらずリスクが大きすぎるのです。
また、もしそれで入社につながったとしても、心から入社したいと思っていない状態ではミスマッチといえざるを得ない状態に陥ってしまうでしょう。
なので、そもそもオワハラをやる意味がないということです。
オワハラの4つのタイプ
オワハラにもいくつか種類があり、主に4つのタイプに分けられます。
どのような面接がオワハラにあたるのかを知ったうえで、自分たちの面接が当てはまっていないかを確認してみてください。
利益提供型
オワハラの典型的事例です。
「他社の選考を断れば内定を出す」といった就活生の欲する内定という利益を与える代わりに就職活動を終えることを強制するパターンです。
就活妨害型
内定が決まった後も面談や研修、懇談会といったイベントを過剰に行うことで、他社との就職活動を妨害するパターンです。
適度なイベントの開催は内定辞退を防ぐための施策となり得ますが、過剰に行ってしまうと妨害行為とみられてしまうので注意しましょう。
面接先延ばし型
面接の回数を通常よりも多く、期間も長めに設定することで他社の選考を受けにくいようにするパターンです。
スムーズな就活を妨げる点では、就活妨害型と同じタイプといえるでしょう。
威圧型
就活生からの内定辞退の連絡に対して威圧的な態度で非難したり、辞退する理由を会社まで説明に来るよう強要したりするパターンです。
内定辞退は就活生の権利ですので、快く見送ってあげましょう。
オワハラは絶対にやめましょう!
オワハラの実態で紹介したような事例ほどではなくとも「どうしてもウチに来てほしい」という気持ちからオワハラのような対応になってしまうケースは少なくありません。
しかし、オワハラに内定辞退を防止する効果はなく、逆に志望意欲の低下につながってしまうリスクがあります。
企業はオワハラではなく、応募者に「この会社で働きたい」と思ってもらえるような会社作りをし、応募者から選ばれる企業を目指しましょう。
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